◉業務委託者(甲)となる方へ、趣旨説明
◉業務受託者(乙)となる方へ、趣旨説明
『業務委託基本契約書』(請負型)
(委託者)〇〇〇(以下「甲」といいます)と(受託者)〇〇〇(以下「乙」といいます)とは、甲が乙に委託する業務(以下「本件業務」)について、次のとおり契約(以下「本契約」)を締結し
ます。
第1条(趣旨・目的)
本契約は、甲が〇〇〇業務を推進するにあたり、乙が有する専門性・技能・実績に基づく●●●(以下、「目的物」といいます)の給付を受けるための基本取引条件を規定するものであり、本契約の着実な推進により、〇〇〇の向上を図り、以て顧客ニーズ・満足に応え、地域経済・社会の発展に貢献し、甲及び乙の経営目標・経営ミッションを実現することを目的とします。
2 本契約は、本件業務に関して甲及び乙間で締結される『業務委託個別契約書(請負型)』(以下「個別契約」といいます)に適用されます。尚、個別契約において本契約と異なる定めをした場合は、個別契約が、本契約に優先して適用されます。
3 甲または乙は、留意すべき目的及び前提条件(以下各号)がある場合、相手方に事前に書面で告知したうえで、本契約を締結し、同時に前項の個別契約第1条(委託内容、仕様)に具体的仕様を定めます。
(1)契約に至る経緯・背景、目的物の特別な使用目的
(2)遅滞の許されない履行期限、目的物の確保すべき基本機能・基準、サービスレベル
(3)予測される法的・経済的・技術的変動要因、制約要因
(4)業界特有の履行すべき慣習・慣行
(5)地理・地勢上必要とする「目的物完成上の配慮すべき特有の事項」等
第2条(個別契約、契約成立)
甲及び乙は、個別契約において、以下各号を定めます。
【注意】以下各号は、下請法3条【書面に記載すべき具体的事項】の規定であり、業務委託契約の各類型(請負型、準委任型)に必要な共通事項を網羅しています。本契約、個別契約においては各類型に応じ適切な用語に修正し、必要事項を定めます。
(1)親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2)製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3)下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう,明確に記載する。)
(4)下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
(5)下請事業者の給付を受領する場所
(6)下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日
(7)下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが,算定方法による記載も可)
(8)下請代金の支払期日
(9)手形を交付する場合は,手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
(10)一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債
権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
(11)電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
(12)原材料等を有償支給する場合は,品名,数量,対価,引渡しの期日,決済期日,決済方法
2 本契約締結後の契約成立は、甲及び乙が個別契約に記名押印したときに限り成立します。
3 本契約が「継続的業務委託」の性質のものである場合、甲が第1項に定める必要事項を記載した注文書または注文データ(以下、「注文書等」といいます)を発行し、乙が「注文書等」に対し注文請書または注文請書データ(以下、「請書等」といいます)を交付したとき(以下、「受諾」といいます)に契約成立とすることも出来るものとします。
ただし、注文書等・請書等の形式、必須の記載事項、発行・交付責任者等は、個別契約で定めます。
第3条(現場責任者及び指図)(【注意】参照)
乙は、甲の事業場において本件業務を履行する場合には、予め本件業務の履行に関して以下の事項を行う者(以下、「現場責任者」といいます)を選任したうえで、甲に対して現場責任者の氏名、役職及び連絡先を通知します。
(1) 本件業務に従事する乙の従業員への作業上の指揮命令及び始業・終業・休憩時間等の労務管理
(2) 本件業務に従事する乙の従業員の安全衛生及び災害事故の防止に関する管理監督
(3) 本件業務の履行に関する甲との間の連絡・報告・調整
(4) 甲及び乙間の本件業務の目的物の引渡し(納品・検収)、並びに請求書その他の書面の授受
2 乙は、本件業務の履行に関して必要がある場合には、甲に対して甲としての指図を求めることができ
ます。この場合、甲は、必要に応じて当該指図を乙に対して行います。
3 前項の甲としての指図は、乙の選任した現場責任者に対して行い、請負契約における乙の従業員に対しては直接にこれを行うことはできません。
【注意】:労働者派遣との相違を理解・厳守し、契約上のみならず甲の業務現場に徹底させることが必要となります(『業務処理手順書』、『業務フローチャート』等の作成を検討します)。
第4条(報告及び定期協議会等の開催)(【補足】参照)
甲及び乙は、本契約が終了するまでの間、本契約の目的を履行するため本契約の履行状況の報告、履行上の問題点の解決、履行の経緯及び結果、その他必要な事項の報告及び協議をするため、定期的に協議会(以下「定期協議会」といいます)を開催することを、相手方に請求できるものとし、相手方はこの請求に応じなければなりません。
(1) 本契約の履行状況の報告、
(2) 履行上の問題点の解決
(3) 履行の経緯及び結果
(4) その他必要な事項
2 前項の定期協議会のほか、甲及び乙は必要に応じ両者の協議会(以下「臨時協議会」といいます)を行うことを相手方に請求できるものとし、相手方はこれに応じます。
3 甲及び乙は、必要に応じて、以下各号に定める者を定期協議会及び臨時協議会に出席させるよう相手方に対し要請することができるものとし、相手方はこれに応じます。
(1)本件業務の履行に関わる乙の現場責任者及び担当者
(2)本件業務の目的物等の直接利用者、必要な甲の従業員
4 本条に定める定期協議会、臨時協議会を実施する場所・日時・方法等(面談、オンライン、その他)については、個別契約に定めます。
【補足】民法第645条(受任者による報告)を本請負契約へ拡大適用しています。
第5条(本件業務の委託料等、支払方法)(【注意】参照)
本件業務の委託料等(以下の各号)は仕事の完成に対し委託内容の性質に応じて、個別契約の定
めに基づいて甲から乙へ支払います。
(1) 着手金
(2) 一括委託料
(3) 中間委託料
(4) 定額委託料
(5) 追加委託料
(6) 成果報酬
2 前項の委託料の額、算定方法、支払方法、支払時期等は個別契約に定めます。
3 金融口座への振込手数料は甲が負担します。
【注意】(以下、民法の規定):
(イ)請負の報酬の支払い時期は、目的物の引渡しと同時に支払わなければならない(民法第633条1項)。
(ロ)ただし、物の引渡しを要しない場合、後払いが原則(民法第633条1項ただし書)。
■途中で契約が終了した場合、乙が既に行った部分の給付によって委託者(甲)が利益を受けているとき、その部分を仕事の完成とみなし、乙は甲の受ける利益の割合に応じて報酬を請求できる(民法第634条)。
(1) 甲に帰責事由なく仕事の完成ができなくなったとき
(2) 請負が仕事の完成前に解除されたとき
尚、帰責事由の存在の有無により、受託者(乙)は以下(a)(b)(c)の報酬請求ができる。
(a)乙に帰責事由がある場合:甲が受ける利益の割合に応じて報酬請求が可能(民法第634条1項)
(b)甲乙双方に帰責事由がない場合: 同 上 (同 上)
(c)甲に帰責事由がある場合:乙は、全額報酬請求が可能。ただし、得た利益は返還(民法第536条2項)
【関連条文】:第18条(契約条件の変更)、第19条(任意解除)、第20条(契約の解除)、
第29条(反社会的勢力の排除)、第30条(不可抗力免責)、他(契約終了の定めがある場合)。
第6条(費用の負担、支払方法)(【補足】参照)
本件業務の履行上、生じる以下各号の費用について、個別契約第4条に定めます。
(1) 通常に生じる費用(交通費、宿泊費、通信費、印刷費等、一切の費用)
(2) 前払い費用
(3) 特別な費用
【補足】民法第649、650条、委任の規定を本条へ準用拡大しています。
第7条(通知義務)
甲及び乙は、次の各号のいずれか一つに該当するときは、相手方に対し、あらかじめその旨を書面により通知する義務を負います。
(1)法人の名称又は商号の変更
(2)振込先指定口座の変更
(3)代表者の変更
(4)本店、主たる事業所の所在地又は住所の変更
(5)第3条第1項に規定の現場責任者の変更
(6)第23条第4項の役員・従業員の役職・氏名
第8条(再委託)(【補足】【注意】参照)
乙は、甲の書面による承諾を得た場合に限り、本件業務の全部又は一部を第三者に再委託することができます。
2 前項により再委託をする場合は、乙は次の各号について、甲に書面で通知します。
(1) 再委託する内容
(2) 再委託する事業者名、住所、代表者名
(3) 再委託期間
(4) 再委託する理由
(5) 当該再委託する業務内容の概算金額
3 乙は、第1項の再委託の結果、甲に損害が発生した場合は、これを賠償する責任を負います。
ただし、乙が当該損害の発生につき、管理・監督上等、乙に故意および過失がないこと、不可抗力であることを証明した場合にはこの限りではありません。
【補足】請負契約の場合、再委託に関する規定はありませんが、委任の規定(民法第644条の二)を本請負契約へ準用し拡大適用しています。
【注意】委託業務に個人情報の取扱いが含まれる場合、注意が必要です。
本契約第25条(個人情報の取扱い)及びその【注意】を参照。
第9条(法令の遵守等)(【注意】参照)
甲及び乙は、本契約の履行に際し、国内外の関係法令を遵守します。
2 乙は、本契約に基づく業務を履行する人員につき労働基準法、労働安全衛生法、職業安定法その他の関係法令に従い、使用者及び事業者としての一切の責任を負います。
【注意】本契約の各条項の末尾に記載の【注意】、当サイト投稿記事“『業務委託契約』の注意事項!”
第10条(納入)(【注意】参照)
乙は甲に対し、本契約第2条(個別契約第1条第5項)の規定に従い、目的物を納入します。こ
の際の納入費用は乙の負担とします。
2 乙は、納期遅延により甲が損害を被ったときは、甲にその責がある場合及び第29条(不可抗力
免責)の定めによる場合を除き、その損害を賠償します。
【注意】下請法が適用される場合、「下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容(目的物の納入)に対し検査(次条の検収)をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(本条納入日)から起算して60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定めなければならない。」
第11条(検収)(【補足】参照)
前条第1項により乙が目的物を納入した場合、甲は、検査基準(個別契約【別紙】【1】検査基準)に従い、目的物を速やかに検査し、〇〇日以内に検査の結果を乙に通知します。ただし、検査結果に契約不適合が発見された場合は、直ちに通知するものとします。
2 前項の結果、甲が乙に検査の合格を通知したときに、目的物の検収は完了したものとし、甲が乙
に検査の結果を通知しないまま前項の期間が経過したときは、当該目的物は検査に合格したもの
とみなします。
尚、本項の検査合格時点をもって、民法に規定する「引渡し」がなされたものと見なします。
【補足】民法の「引渡し」の効果は本項の検収完了時点で発生します。
(「引渡しの効果」について、以下各条に規定。)
(1) 民法第633条1項:(請負契約の)報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
(2) 民法第648条の二:成果に対して報酬を支払う委任契約の場合、報酬はその成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
(3) 民法第567条第1項(目的物の滅失等についての危険の移転):請負契約の目的物を引渡した場合、その引渡し以後に当事者双方の責によらない目的物が滅失、または損傷した場合、甲は追完・代金減額・損害賠償の請求、契約の解除ができない(民法第559条売買以外の有償契約への準用)。
【関連条文】本契約第13条(契約不適合責任:引渡し前から存在していた不具合が引渡(検査完了)後に判明した場合)、第16条(危険負担)、個別契約【別紙】【1】検査基準。
第12条(品質保証)
乙は、目的物が、個別契約第1条(委託内容、仕様)に適合し、甲及び市場の要求に合致する品質であることを保証します。
第13条(契約不適合責任)(【補足】(1)~(6)、【注意】参照)
甲は、第11条の検査完了後、乙から受領した目的物に不適合(個別契約第1条(委託内容、仕様)との不一致、目的物の利用の支障となる不具合等、以下「不適合」といいます)を発見したときは、乙に対して、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完請求することができます。ただし、乙は、甲に対し不相当な負担を課すものではないときは、甲が請求した方法と異なる方法による履行の追完ができます。(【補足】(1))
2 前項のただし書きの場合において、乙は個別契約の仕様変更で対処することが本契約の目的・趣旨に適うと考えるとき、本契約第18条(契約条件の変更)に則り、速やかに甲に書面で申出、協議を行います。(【補足】(2))
ただし、協議が整わない場合、並びにこの変更をもってしても契約の本旨の履行ができない場合(民法第563条第2項三号)、かつ、前項の不適合の発生が甲の責めに帰すべき事由でない場合であって第1項の追加の履行では不適合が解消されない場合、乙に帰すべき事由がある場合は本契約の第22条により、相応の賠償金を甲に支払うものとします。(【補足】(3))
3 前項は、甲が不適合を知ったときから〇ヶ月以内に限り適用します。ただし、乙が目的物を引き渡すときにおいて、その不適合を知り、又は重大な過失により知らなかったときはこの限りではありません。(【補足】(4))
4 甲は個別契約第1条(委託内容、仕様)において、甲が供した仕様・資料・指図によって生じた不都合を理由として、第1項の追完請求をできません。また、これは乙が個別契約へ合意したことをもって排除されません。ただし、乙が当該個別契約の不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りではありません。(【補足】(5))
5 第3項の不適合を甲が〇ヶ月を超えた後に知った場合、甲及び乙は、その対応方法及びその条件について、不適合の発生経緯・原因・実態を総合考量し協議により決定します。(【補足】(6))
【補足】
(1) 民法第562条第1項の原則適用
(2) 民法第563条(買主の代金減額請求権)の留保、かつ、本契約第1条(趣旨・目的)実現を担保するための本契約第33条(行動基準:協議・協働)の実行(契約条件の変更等の協議)。
(3) 上記(2)の留保、協議の結果、協議が調わない場合、本契約の本旨に照らし、代金減額に拠らず第22条(損害賠償責任)での適用を検討します。
(4) 民法第566条第1項の修正適用:(1年以内→〇ケ月以内)
(5) 民法636条の確認
(6) 民法に規定のない、協議による定め。
【注意】下請法が適用される場合、同法4条1項4号により下請事業者の責に帰すべき理由がない返品は禁止される。下請法運用基準により、下請事業者の委託内容と異なること又は瑕疵等を原因とする返品の期間は「目的物の受領(納入)後、6ヶ月(親事業者の製品に対し6ヶ月を超える保証期間を定めている場合においては、それに応じて最長1年)以内」に制限されている。 ⇒本契約第10条(納入)が起算点であることに注意を要す。
第14条(製造物責任、保険)
製造物責任に関し、甲乙間で個別契約または特別の定め(以下「特約」といいます)がある場合、特約において以下に定める事項と異なる事項を合意した場合は、当該合意事項が本契約および個別契約に優先して適用されます。
2本契約に基づき乙が甲に納入した目的物の設計上、製造上または指示警告上の欠陥に起因して、第三者の生命、身体又は財産に損害が生じ、これにより甲に損害が被った場合には、乙は、甲と損害賠償額を協議のうえ、本契約の委託料額を上限として当該損害を賠償します。ただし、甲の指定する仕様書等に起因する場合で、かつ欠陥が生じたことについて乙に過失がない場合は、乙は賠償の責を負いません。
3 前項の損害につき、乙に対し第三者から直接に損害賠償請求がなされ、乙がこれを支払った場合、前項の損害のうち乙の責任範囲を超え、かつ甲の責任相当額については、乙は甲に求償できます。
4 甲及び乙は目的物の性質に応じ、協議により費用を分担し、甲と乙を被保険者として生産物賠償責任保険(製造物責任保険)を、付保することを協議し、付保する場合は、その証書の謄本を甲が、謄本の写しを乙が保持します。
第15条(所有権の移転)
目的物の所有権は、業務委託料を完済したときに、甲に移転します。
第16条(危険負担)(【補足】参照)
目的物の滅失、毀損その他一切の損害のうち、目的物の納入前に生じたものは、甲の責めに帰すべき事由による場合を除き、乙の負担とし、目的物の納入以降に生じたものは乙の責めに帰すべき事由による場合を除き、甲の負担とします。
【補足】
本条では、民法の規定を適用していません。民法第567条第1項の適用を留保しています。
本契約第11条(検収)の【補足】(3)民法第567条第1項(目的物の滅失等についての危険
の移転)を参照。
尚、目的物の性質(仕様、機能等)、甲の定めた検査基準、甲及び乙の関係(下請け法対象と
なるか等)を総合考慮し、民法の規定を適用する契約とするかにつき検討を要します。
第17条(知的財産権)
乙は、本件業務の履行にあたり、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下「知的財産権」といいます)の対象となっている履行方法、ノウハウ、アイデア、コンセプト等を使用するときは、その使用に関する一切の責任を負います。
ただし、甲が提示する個別契約第1条(委託内容、仕様)及び提示される書類等一切の情報(メール・電話連絡含む)に知的財産権の対象である旨の記載・情報がなく、かつ、乙がその存在を知らなかったときは、甲は、乙がその使用に関して要した費用を負担します。
2本件業務の履行を通じて新たに生じた知的財産権の権利については、原則として乙に帰属します。ただし、発生にいたる経過を踏まえ、本件権利の帰属及び使用方法に関する以下各号について個別契約で定めることができるものとします。
(1) 新たに生じた知的財産権の権利帰属及び譲渡等の対価
(2) 新たに生じた知的財産権及びその譲渡等の登録手続き
尚、本契約締結前に既に甲又は乙の各々に帰属していた成果及び権利は除きます。
3甲及び乙は、本契約によって生じる成果及び権利を第三者に譲渡し、又は承継させ若しくは公表す
る場合には、本契約の有効期間後であっても、事前に相手方の書面による承諾を得なければなり
ません。
第18条(契約条件の変更)(【補足】参照)
甲または乙は、本件業務の委託内容(仕様化)の履行作業において、甲が指示する委託内容(仕様書)、検査基準及び提供資料等の変更(以下「契約条件の変更」といいます)の申入れを行う場合、両者が協議で定めた書面に変更の内容理由等を明示して、甲または乙が記名押印を行ったうえで、これを相手方に通知することをもってのみ行い得るものとします。
2 前項に基づく相手方からの契約条件の変更の申し入れがあった場合、甲及び乙は、当該申入れがあった日から〇日以内に変更の内容及びその可否につき協議を行うものとします。
尚、当該協議期間内に協議が調わない場合、乙は当該申入れ前の契約条件に従って作業を実施することができるものとします。
3 前項に基づく協議の結果、変更の内容が本契約及び個別契約の契約条件に大きな影響を及ぼすものであると甲及び乙が判断した場合には、本契約の「変更契約書」を作成し、甲及び乙が記名押印をすることのみをもって、本契約の「契約条件の変更」を行うことができるものとします。
尚、変更の内容が、本契約及び個別契約の契約条件に大きな影響を及ぼすものではないと甲及び乙が判断した場合には、「変更契約書」を締結することなく個別契約の変更のみを行うことができるものとします。
~《個別契約の変更》~
4 前項に基づき個別契約の変更を行う場合には、変更の内容に応じ、以下各号の書面を作成します。
(1)変更が個別契約の多くの条項の改訂を要する場合、『〇〇変更の合意書』
(2)変更が個別契約の条項の一部のみの改訂を要する場合、『〇〇の変更(覚書)』
(以下単に『覚書』といいます)
5 甲及び乙の契約責任者が前項に基づく『〇〇変更の合意書』または『覚書』に記名押印を行うことをもって、個別契約における変更が確定するものとします。
6 前各項の契約条件の変更の協議が調わない場合、甲及び乙は本契約及び個別契約を解除することができるものとします。
尚、本項は本条第2項、尚書きの適用を妨げるものではないものとします。
【補足】本契約第1条(目的・趣旨)を実現し、契約の効果を最大確保するため、本条により「契約条件の変更」を環境変化に適合するため柔軟に行うこと、かつ、その行動を担保するため、第33条(行動基準:協議・協働)により協議・協働を行動基準としています。
第19条(任意解除)(【補足】参照)
本契約においては、請負に関する注文者の任意解除権(民法第641条)の規定は適用しません。
2 甲又は乙は、本契約の趣旨・目的に照らし、有効期間中であっても、いつでも相手方に対し、〇日前までに書面で通知することによって、本契約及び個別契約を解除することができます。
3 前項の解除によって相手方に損害が発生した場合には、解除した当事者はこれを賠償しなければなりません。
4 前項の損害については、金〇〇円をもって損害賠償額の予定とします。ただし、解除された当事者は、これを超える額の損害を証明して、この損害の賠償を請求できるものとします。
【補足】第2項、4項のとおり、民法の規定は留保し、予告期間・損害賠償の予定額を設定しています。
【関連条文】第18条(契約条件の変更)、第20条(契約の解除)、第29条(反社会的勢力の排除)、第30条(不可抗力免責)
第20条(契約の解除)(【補足】参照)
本契約においては、民法の法定解除(以下各号)の規定は適用を留保します。
(1) 催告による解除(民法第541条)
(2) 催告によらない解除(民法第542条)
尚、甲及び乙は、 第4条(報告、定期協議会等)の他、協議が必要と判断する(以下各号)場合、当該各条にしたがい協議を行います。
(1)契約条件の変更を行う必要があると判断したとき(本契約第11条)
(2)本契約の条項の解釈につき疑義がある場合
(3)環境変化への対応上、契約条件の変更等の協議が必要と判断する場合
(4)本契約、個別契約に定めがない事項につき、新たな基準を定める場合
(以上(1)~(4)本契約第26条)
(5)個別契約において協議が必要とされている場合(個別契約の各条項)
2 甲及び乙は、前項の協議によって解決できない場合、かつ、相手方が以下各号のいずれかに該当したときは、催告及び自己の債務の履行の提供をしないで直ちに本契約の全部又は一部を解除することができます。
(1) 本契約又は個別契約に違反し、相手方が相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、当該期間内に是正されず、相当期間内にこれを是正しないとき。
(2) 資本金の減少
(3) 自ら振出し又は引き受けた手形若しくは小切手につき不渡りとなる等、支払停止状態に至ったとき。
(4) 差押、仮差押、強制執行若しくは競売の申立てがあり、若しくは滞納処分を受け、又はそれらのおそれがあると認められるとき
(5) 租税滞納処分その他公権力の処分を受け、または整理、会社更生手続の開始、破産もしくは競売を申し立てられ、またはこれらの手続き開始等の要件に該当する事由があると認められるとき。また、自ら整理、民事再生、会社更生手続の開始、破産もしくは競売を申し立てたとき。
(6)監督官庁より営業停止、または営業免許もしくは営業登録の取消処分を受けたとき。
(7)重要な事業の停止、廃止、譲渡又は解散(合併による消滅の場合を含む。)の決議がなされたとき。
(8)合併その他の組織再編又は株主構成若しくは役員の変動等により実質的支配関係が変化したとき(従前の会社との同一性を有しなくなったと認められるとき)。
(9)反社会的勢力であることまたは反社会的勢力と密接な関係を有することが判明した場合。
(10)災害、労働争議等、本契約の履行を困難にする事項が生じたとき。
(11)その他資産、信用状態が悪化し、またはその恐れがあると認められる相当の事由があると
き。
(12)相手方に対して詐術その他の背信的行為があったとき。
(13)その他、前各号に順ずる事由があったとき。
3 甲及び乙は、前項の他、個別契約の規定により契約を解除したときでも、相手方に損害があるときは、相手方が負った損害につき賠償するほか、甲は乙がすでに履行した本件業務の割合に応じた委託料を支払います。
【補足】第1項のとおり、民法の規定は留保しており、本契約第33条(行動基準:協議・協働)とし、第2項において、協議が調わない場合に解除を行うことができるとしています。
【関連条文】本契約第18条(契約条件の変更)、33条(行動基準:協議・協働)
第21条(期限の利益の喪失)
甲又は乙いずれかの当事者が、前条第1項各号に掲げる事由の一に該当したときは、当該当事者は、相手方に対し負担する一切の債務について、当然に期限の利益を喪失し、直ちに債務全額を現金で相手方に支払います。
第22条 (損害賠償責任)(【補足】参照)
甲又は乙がその債務の本旨に従った履行をしないとき、又は債務の履行が不能であるときは、相手方は、これによって生じた損害の賠償を請求することができます。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責に帰することができない事由によるものであるときは、この限りではありません。
2 前項の賠償責任は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることを目的とし、予見すべきであったか否かに関わらず、特別の事情によって生じた損害、逸失利益及び第三者からの損害賠償請求に基づく相手方の損害について、責任を負いません。
3 乙の甲に対する損害賠償責任は、本契約に基づき乙が甲から支払いを受けた委託料の額を超えません。
【補足】第2項に規定のとおり、民法第416条第2項は留保し、通常損害に限定しています。
【関連条文】本契約第13条(契約不適合責任)第2項において、民法第563条は留保しているため、乙に帰責事由がある場合は、本条で甲に相応の賠償責任を負うものとしています。
第23条 (遅延損害金)
甲が本契約に基づく金銭債務の支払を遅延したときは、支払期日の翌日から支払済みに至るまで、年14.6%(年365日日割計算)の割合による遅延損害金を支払います。
第24条(守秘義務)
甲及び乙は、本契約期間中はもとより終了後も、本契約に基づき相手方から開示された一切の情
報(以下「秘密情報」といいます)を本件業務の履行にのみ使用し、甲の書面による承諾なくし
て第三者に開示してはなりません。
2 前項の守秘義務は以下のいずれかに該当する場合には適用しません。
(1)公知の事実又は当事者の責めに帰すべき事由によらずして公知となった事実
(2)第三者から適法に取得した事実
(3)開示の時点で保有していた事実
(4)法令、政府機関、裁判所の命令により開示が義務付けられた事実
3 本契約の存在も秘密情報とします。
4 乙は、本件業務の履行のために秘密情報を知る必要がある乙の役員・従業員のみにこれを開示す
ることとし、予め甲にその役員・従業員の役職・氏名を通知します。
5 乙が本件業務を第三者に再委託し実施させる場合には、この守秘義務をこの第三者にも遵守させ
ます。
6 本条に定める守秘義務は、本契約終了後も存続します。
第25条(個人情報の取扱い)(【注意】参照)
甲及び乙は、本件業務の履行に関連して相手方から個人情報の開示を受けた場合には、本件業務の目的の範囲内において個人情報を取り扱うものとし、本件業務の目的以外にこれを取り扱ってはなりません。
2乙は、個人情報保護法及びその関連法令を遵守するための個人データ安全管理体制を確立し、本契約締結後速やかに、甲に対し、当該安全管理体制に基づく個人データの安全管理方法について書面をもって報告しなければなりません。この安全管理方法について変更があった場合も同様とします。
【注意】「個人データ」の扱いについて、『業務委託契約』の当事者である委任者(甲)受任者(乙)は以下について特に留意が必要である。
■個人情報保護法第25条【委託先の監督】:
「個人情報取扱い事業者(甲)は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、その
取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者(乙)に対する必
要かつ適切な監督を行わなければならない。」
■個人情報保護法第27条【第三者提供の禁止】:
第1項:「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ない
で、個人データを第三者に提供してはならない。(1号~7号省略)」
第2項:「個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じ
て当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。ただし、第三者に提供される個人データが要配慮個人情報又は第二十条第一項の規定に違反して取得されたもの若しくは他の個人情報取扱事業者からこの項本文の規定により提供されたもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)である場合は、この限りでない。(1号~8号省略)」
第5項:「次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとします。(1号~3号省略)」
■個人情報保護法第23条【安全管理措置】:
「個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」
■個人情報保護法第27条【従業者の監督】:
「個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当 該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。」
【関連条文】本契約第3条(現場責任者及び指図)、第4条(報告、定期協議会等の開催)、第7条(通知義務)、第8条(再委託)、第24条(守秘義務)、第32条(契約終了後の処理)。
第26条(権利の譲渡の禁止等)
甲及び乙は、あらかじめ相手方の書面による承諾を得ないで、本契約に基づく権利、義務または
財産の全部又は一部を第三者に譲渡し、承継させ又は担保に供してはなりません。
第27条(相殺禁止)
甲及び乙は、本契約又は本契約に限らないその他の契約等に基づいて甲及び乙が相手方に対して
負担する債務と、本契約又は本契約に限らないその他の契約等に基づいて甲及び乙が相手方に対
して有する債権とを、相殺することはできません。
第28条(競業避止義務)
乙は、本契約期間中及び契約終了後〇年間は、本契約及び本契約上の債務を履行する上で取得した甲の情報を利用して、自ら又は第三者をして甲と同一又は同種若しくは類似の事業をしてはなりません。
第29条(反社会的勢力の排除)
甲又は乙は、自己又は自己の役員が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下これらを「反社会的勢力」といいます)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを相互に確約します。
(1)反社会的勢力に自己の名義を利用させること
(2)反社会的勢力が経営に実質的に支配していると認められる関係を有すること
2 甲又は乙は、前項の一つにでも違反することが判明したときは、何らの催告を要せず、本契約を解除することができます。
3 本条の規定により、本契約が解除された場合には、解除された者は解除によって生じる損害について、その相手方に対し一切の請求を行うことができません。
第30条(不可抗力免責)
天災地変、戦争・暴動・内乱、テロ、感染症の蔓延、法令の制定・改廃、公権力による命令・処分、ストライキ等の争議行為、輸送機関・通信回線又は保管中の事故、原材料の仕入れ先の債務不履行その他乙の責に帰し得ない事由による本契約の全部または一部の債務の不履行については、乙は、その履行及び損害賠償責任を免れます。
2前項の場合、乙は、履行が不能となった債務の全部または一部について甲に対する報酬請求権を失います。
3第1項の不可抗力となる事由が〇〇日間以上継続し本契約の履行が著しく困難になったと認められるとき、甲及び乙は、事前に協議のうえ、本契約又は個別契約の全部もしくは一部を解除することができます。解除された場合、相手方は、解除によって生じた損害の賠償を求めることはできません。
第31条(契約期間と終了)
本契約の有効期間は、〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までとします。ただし、個別契約に基づき乙が目的物を甲に提出し、甲の検収・委託料の支払完了、甲乙相互の債権債務及び異議の不存在をもって本契約は終了します。
2 乙が前項で定めた期日までに目的物を提出できないときは、事前に遅延理由等について甲に申し
出るものとし、甲の承諾を得た場合は、期日を延長することができるものとします。
第32条(契約終了後の処理)
甲及び乙は、本契約が終了したときは、互いに既に確定した債権債務について、速やかにこれを精算します。
2 乙は、本契約が終了した場合、直ちに本件業務を中止し、甲に対して事務の引継ぎを行い、本契約に基づき預託・貸与された事務処理マニュアル等の物品(本契約に基づき提供されたデータ類及びこれらが記録された電子媒体等を含む)を、速やかに甲の指示に基づき返還ないし破棄します。
3 乙は、本契約が終了した以降、甲の知的財産権等を使用するなど、第三者から甲又は甲の業務を受託した者と誤認されるような行為をしてはなりません。
第33条(行動基準:協議・協働)(【補足】参照)
甲及び乙は、各条項の解釈上の疑義、及び、内外の環境変化(以下各号)により本契約の目的に適合しない契約効果が予測される場合、契約目的に適合するよう契約条件を変更する等について協議を行い解決します。
(1) 顧客ニーズの変化(事業環境の変化)
(2) 社会規範、法令・各種基準の変化
(3) 予期せぬ仕入れ価格の変動
(4) その他、内外の環境変化
2 個別契約に定めた具体的実現方法についても、激変する内外の環境変化(以下各号)に積極的に
適応し、契約条件の変更により、従前の契約条件より一層の付加価値を生み出すため、第三者の協働も得て協議を行い解決します。
(1)要件仕様の変化
(2)技術革新による採用すべき技術/利活用方法の変化
(イ)設計技術/その現場適用の方法
(ロ)施工技術/その現場適用の方法
(ハ)デジタル技術/その現場適用の方法
(ニ)その他、技術の変化/その現場適用の方法
尚、本契約、個別契約に定めのない事項についても、本条の前各項の本行動基準の趣意に則り、協議をもって新たな基準を定めます。
3 前2項の協議をもって契約条件の変更を行う場合、本契約第18条の定めるところに拠ります。
【補足】以下の関連条項と合わせて、本条のとおり、本契約の目的・趣意の実現ため、行動基準を協議・協働としています。
【関連条文】第18条(契約条件の変更)、第19条(任意解除)、第20条(契約の解除)、個別契約第3条(協働施策)等。
第34条(判断基準:準拠法・合意管轄)
本契約は、日本法に従って解釈されます。
2 前条の協議によって解決合意できない場合の訴訟については、被告の所在地を管轄する地方裁判
所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
以上の合意の成立を証するため、この契約書2通を作成して甲と乙とが記名押印のうえ各自その1通を所持します。
年 月 日
(委託者)甲:
住所:
氏名:
(受託者)乙:
住所:
氏名: